
こんなふうに思っている人も多いのではないでしょうか。
確かに短期投資はリスクがあります。実際に私も短期投資で損をしているので、それについては全く否定する気はありません。
一方で、長期投資については短期投資に比べてリスクも低く、初心者でも比較的安全に、かつ着実に資産を増やしていける投資手法です。
そしてそれを可能にしているのが「複利」という考え方です。
この記事では「複利」とはどんなものなか、という点に絞ってご紹介したいと思います。
こんな方におすすめ
- 複利の仕組みについて知りたい人
- 複利で運用した場合の運用実績が知りたい人
- 「72の法則」が知りたい人

「単利」と「複利」の違いについて
まず最初に「単利」と「複利」の違いについて説明します。
単利とは
元金のみに利子がつくこと
複利とは
元金+利子にも利子がつくこと
例えば、元金100万円を「単利5%」で5年間運用したとすると。
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 50,000 | 1,050,000 |
2年後 | 50,000 | 1,100,000 |
3年後 | 50,000 | 1,150,000 |
4年後 | 50,000 | 1,200,000 |
5年後 | 50,000 | 1,250,000 |
次に、元金100万円を「複利5%」で5年間運用した場合です。
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 50,000 | 1,050,000 |
2年後 | 52,500 | 1,102,500 |
3年後 | 55,125 | 1,157,625 |
4年後 | 57,881 | 1,215,506 |
5年後 | 60,775 | 1,276,282 |
このように単利の場合だと元金のみにしか利息がつかない為、長期に運用をしても利息はずーーっと5万円です。
一方で、複利で運用をすると、年数が経過するごとに利息が大きくなります。これが俗にいう「雪だるま式に利息が増える」という現象です。
上記のシミュレーションだと簡略化のため、税金等は考慮していませんが、ざっくりこんな感じです。
「単利」と「複利」のそれぞれの運用結果の差がすごい
上記では、5年間という比較的短い期間での比較を行いましたが、これが10年、20年、30年という長期になるとその差はさらに広がります。
単利で30年運用した場合は以下のようになります。
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 50,000 | 1,050,000 |
5年後 | 50,000 | 1,250,000 |
10年後 | 50,000 | 1,500,000 |
20年後 | 50,000 | 2,000,000 |
30年後 | 50,000 | 2,500,000 |
次に複利で30年運用した場合です。
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 50,000 | 1,050,000 |
5年後 | 60,775 | 1,276,282 |
10年後 | 77,566 | 1,628,895 |
20年後 | 126,348 | 2,653,298 |
30年後 | 205,807 | 4,321,942 |
単利だと30年経過してもあいかわらず利息は5万円ですが、複利の場合、30年経過すると利息だけで20万円になります。
実に元金に対して20%の利息が年間でもらえるという計算です。
また、元利合計についても複利の場合、30年後には430万円を超えていて、元金にたいして4倍以上に膨らんでいます。
単利運用と比べても2倍近くの運用成績の差が出ています。
これをグラフにしてイメージしやすくしたのがこちらです。
このように複利で運用をした場合、短期で見るとそれほどまでに大きな差は出てこないものの、長期で見たときの差は歴然です。
また、複利運用をした場合、元金が大きければ大きいほど、その運用結果というものは大きなものになります。なので、継続して入金をして「元金を増やす」ということも非常に大事になってきます。
上記のグラフは初年度の元金のみで運用をしたものになりますが、これらと比較して「元金100万円にさらに毎年5万円を継続投資した場合」というものを考えてみます。
すると、以下のグラフのようになります。
その差は一目瞭然です。これこそがアインシュタインが人生最大の発明と言った「複利の力」です。
長期の株式投資も「複利」を活用している
長期投資も基本的には「複利」というものを念頭において行う投資手法です。
株式投資を行った際に得られるものに「配当金」というものがあります。
これは企業が得た利益の一部を株主に還元する制度のことです。
そして、この配当金の使い方次第で資産運用が「複利」になるかどうかが変わってきます。
配当金の使い方には大きくわけて次の2つの使い道があります。
- 自身の消費に使う
- 再投資を行う
もちろん①の消費に使うということも悪いことではありません。
ですが、上記で述べた通り複利運用の場合は、元金を大きくしてこそ複利の力が雪だるま式に大きくなるため、資産形成期においては②の再投資に使う方が有効と言えます。
つまり、会社からの配当を使ってさらに会社の株を買うということです。
この手法のいいところはもう1つあって、会社からの配当を使って買った株なので、「実質ノーリスクで株が買える」というメリットもあります。
仮に株を購入したあとに株価が値下がりしても、もともとなかったお金を使っているので、自分のお金を使って買った場合に比べて精神面的にもかなり楽になります。
知っておくと便利な「72の法則」
最後に知っておくと便利な「72の法則」というものをご紹介いたします。
複利の勉強をしていると必ず「72の法則」という言葉を聞くと思います。
これは「〇%の利回り」で複利運用した際に、元金が2倍になるのは「72÷〇年」かかるということです。
例えば、4%の利回りで運用した場合は、72÷4=18年で元金が2倍。
3%の利回りであれば、72÷3=24年で2倍ということです。
実例で見てみましょう。
以下、元金100万円を利回り4%、3%、2%の複利運用した場合の表です。
<利回り4%の場合>
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 40,000 | 1,040,000 |
2年後 | 41,600 | 1,081,600 |
16年後 | 72,038 | 1,872,981 |
17年後 | 74,919 | 1,947,900 |
18年後 | 77,916 | 2,025,817 |
<利回り3%の場合>
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 30,000 | 1,030,000 |
2年後 | 30,900 | 1,060,900 |
22年後 | 55,809 | 1,916,103 |
23年後 | 57,483 | 1,973,587 |
24年後 | 59,208 | 2,032,794 |
<利回り2%の場合>
経過年数 | 利息 | 元利合計 |
1年後 | 20,000 | 1,020,000 |
2年後 | 20,400 | 1,040,400 |
34年後 | 38,445 | 1,960,676 |
35年後 | 39,214 | 1,999,890 |
36年後 | 39,998 | 2,039,887 |
このようにちょうど72を利回りで割った年数が経過したときに元金が倍になります。
これを知っていると、特に計算しなくても複利での運用した場合のざっくりの資産推移を考えることができるので便利です。
他にも「100の法則」や「115の法則」というものもあるので、知っておいて損はないでしょう。
72の法則
複利で運用した場合に資産が2倍になる期間
期間:72÷利回り
100の法則
単利で運用した場合に資産が2倍になる期間
期間:100÷利回り
115の法則
複利で運用した場合に資産が3倍になる期間
期間:115÷利回り
最後に
最後にまとめです。
まとめ
- 単利と複利では運用額に大きな差がある
- 特に長期で運用した場合の差は歴然
- さらに元金が多いほど複利の力は大きくなる
- そのため、継続入金+長期運用という合わせ技が有効